4.最後のカツサンドは私のものです

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 翌日早朝から仕事が入ってるというので、コウハとは飲み会のあとそのまま別れた。  本当は二人でハラヘリさんの話とかしたかったんだけどなぁ。    でも皆も一緒に話せて楽しそうだったし、まぁいいかと思っていた。  コウハも数日は滞在するみたいだから、別の日に二人でご飯でも行けばいいかなとか楽観的に考えていた。    皆と解散してそれぞれ帰路につき、私も最寄り駅に着いていつもの商店街を抜けようと足早に歩いていた。    普段は賑わっている商店街も、下ろされたシャッターが並んでいる。  ところどころ営業している居酒屋や飲み屋があるけれど、人通りもまばらでいつもよりずっと静かだ。    ーーカツカツカツ。  私のヒールの足音が、やけに響く。      ーーカツッ。    何気なくいつもの癖で辺りを見回して、視界に入った人の姿に息を飲んだ。   「ーーっ」    いつものベンチに……ハラヘリさんが、いた。
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