プロローグ

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 何でこんなことになってるんだっけ。   「にゃーこ可愛い。あー、癒される。いいこいいこしてまちたかー?」    いつものように出勤したはずなのに、なぜか社長の膝の上に座らされて撫で撫でぎゅっぎゅ、ちゅっちゅたまにぺろんちょされている。   「ニーッ! やめてっ、髪が乱れる!」   「ニーニー鳴いてそんなに寂しかったか、可哀想に。ああ、にゃーこの匂いだ。甘くて薔薇みたいな花みたいな、すっげえたまんねえ匂い」   「ヤメロっ! 嗅ぐな、触るな、耳を舐めるんじゃにゃいっ」    しまった、噛んだ!   「にゃんにゃん言って可愛いっ! もうたまらんっ」    ヤーメーロー! 渾身の力で暴れても、たやすく動きを制されソファーに押し倒されてしまった。    職場で朝からなんてこったい。私をギラギラした目付きで押し倒している見慣れないその男は、確かに聞きなれた声と似ていた。    『ハラヘリさん』    私は彼をそう呼んでいた。    
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