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何でこんなことになってるんだっけ。
「にゃーこ可愛い。あー、癒される。いいこいいこしてまちたかー?」
いつものように出勤したはずなのに、なぜか社長の膝の上に座らされて撫で撫でぎゅっぎゅ、ちゅっちゅたまにぺろんちょされている。
「ニーッ! やめてっ、髪が乱れる!」
「ニーニー鳴いてそんなに寂しかったか、可哀想に。ああ、にゃーこの匂いだ。甘くて薔薇みたいな花みたいな、すっげえたまんねえ匂い」
「ヤメロっ! 嗅ぐな、触るな、耳を舐めるんじゃにゃいっ」
しまった、噛んだ!
「にゃんにゃん言って可愛いっ! もうたまらんっ」
ヤーメーロー! 渾身の力で暴れても、たやすく動きを制されソファーに押し倒されてしまった。
職場で朝からなんてこったい。私をギラギラした目付きで押し倒している見慣れないその男は、確かに聞きなれた声と似ていた。
『ハラヘリさん』
私は彼をそう呼んでいた。
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