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「よっ、大神カチョー。
残業ご苦労様、ゴチになります」
「……熊野……
何故貴様がここに居る」
やはりコイツか。
目盛いっぱいにテンションを下げ、冷ややかな目線を投げた俺に、ヤツは暑苦しい顔を寄せて耳打ちした。
(大神、抜け駆けは許さんぞ)
(帰れ!)
そのすぐ横で、水面下の応酬にはまるで気づかず、赤野は楽しそうに3人のグラスにシャンパンを注いでいる。
彼女は酒が入るといつも上機嫌で、そこがまた…いや、やめておこう。
注ぎ終えたグラスを俺に薦めながら、彼女はニコニコと説明した。
「イエね。
頂いた地図の道に迷って困ってたら、熊野センパイに偶然会ちゃって…」
“偶然” じゃねーだろ、
ストーカー!
ギロッとヤツを睨み上げると、彼女が不思議そうに首を傾げた。
「あれ、大神課長……
もしかして怒ってます?」
「い、いや…怒って…ない」
ニヤリと笑んで、勝ち誇る熊野。
密かに歯噛みした俺の心の内も知らず、朗らかに赤野は杯を掲げた。
「ハイ。じゃあ、3人で___」
「「「カンパーイ!」」」
…何でこうなるんだ。
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