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思わぬ関心事に食いついた俺を置いて、彼女の話(グチ)はなおも続く。
「それで。
これみよがしに経理課の実花ちゃんに自慢したら、何て言われたか分かります?
『あんた一体、何やらかしたの』
らって。
言いましたよ?言いましたともさ。
『ぶっ掛けちゃった』って。
キー、悔ち~!どうせ私ゃ、イロッポイ話には無縁ですよ~だ」
「1位は社長、2位は専務ってとこか…
おーい赤野、どうなんだ?」
「…トーコちゃん…俺は?…ムニャ…」
酔っ払いの会話はさっぱり対話になってない。
と、彼女が急に、潤んだ瞳で俺を見つめた。
「でもね?例えお説教でも、私。
課長に誘って頂いて嬉しかったんです。
こっちに出てきてから、ずっと一人で……
皆が楽しそうな話で盛り上がってる時、ホントに淋しかったから。
…ぐすっ」
そう言うと彼女は、トロリとした目をグラスの水面に移した。
「赤野…」
なんて健気な…
そんな寂しさ、俺が今からすぐ埋めてやる___
「あ、赤野!この後2人で…」
俺が彼女に身を乗り出した時だった。
♪ピロロ~~ン♪
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