最低、からの。

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_まったく。  誰だよ、こんな時に_  居留守を決め込もうかとも考えたが、そこは “お気遣いの秋ちゃん” の異名をとる俺。  少なからず苛立ちを覚えながらもベッドから降り、ノロノロとドアホンのモニターを覗いた。  すると… 『課っ長ぉ~、大神カチョー』  間延びした甲高い声とともに、カメラに向かってクリーニング屋の紙袋を指差し、懸命にアピールする彼女が写っていた。  ウソだろ?!  「あ、赤野!」  起き抜けのよれたパジャマ姿に、ボサボサ頭のなのも忘れ、俺はすぐさまドアを開けた。 「あ、すいません。お休みでした…よね」  少し申し訳なさそうに、赤野はペコリとお辞儀をした。 「い、いや。構わない。  しかし、よくここが分かったな」 「はい、熊野センパイに聞きました」  って事は…  俺はすぐに彼女の背後に目を移した。 「あれ、アイツは?」  ぱっと見た限り、厳つい影は見当たらない。   「ええ、それが。 『残業終わるまで待ってろ』 って言われてたんですけど…」  彼女はニコニコと俺を見上げた。 「面倒臭かったんで、置いて来ちゃいました」  グッジョブ赤野!
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