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「そこ、寒いだろ。立ち話もなんだし…
まあ、入りなさい」
「え、いいんですか?でも悪い…」
「悪くないっ!
イヤ、寧ろそうすべきだ」
俺は、彼女の荷物を奪うように持ち、半ば強引にドアを閉じた。
「は、じゃあ、ちょっとだけ…」
遠慮しつつもヒールを脱ぎ始めた彼女。
ちょっとワザとらしかっただろうか。
しかし、これは絶好のチャンス。
逃す手はない。
リビングのソファを彼女に勧めると、ミニテーブルの向かいに座布団を置いた。
お茶を出すつもりで、キッチンに向かおうとした俺を彼女が慌てて引き留める。
「あああ、寝ててください。そんなのいいですから!
カチョーってば、顔真っ赤ですよ?」
「いいよ、気にするな。大した風邪じゃない…ゲホッ。
な、何をするっ!」
「嘘ばっかり。
あ~…やっぱ凄い熱」
立ち上がった赤野はニュッと手を伸ばし、俺の額に充てた。
熱が上がったのは、オマエのせいだ!
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