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「分かったよ。
じゃあチョッとだけ……すまん」
他人に、ましてや部下に弱った姿を見せたくないが…
高熱に更にオンされた熱の影響か、思った以上に身体がフラつく。
バクバクする心臓を押さえながら、諦めて俺はソファに寄りかかった。
すると、替わりに座蒲団にチョコンと座った彼女が、嬉しそうに荷物を拡げ始める。
「これと、それからこれね。出来上がってたのを持ってきました。
迷惑かとも思ったんですが…ほら、長いお休みに入るでしょ?」
赤野はクリーニング屋から戻ってきたスーツと、俺が店に忘れて帰ったコートをテーブルに置いた。
「ああ、ありがと」
「それから、これも。
こないだのワンホールのささやかなお返しです」
「全部食ったのか…………一人で?」
「はい!美味しかったです」
スゲエな。
呆れつつも、彼女が一人だったことに気分を良くした俺は、少し声を弾ませた。
「そ、そっか。
にしてもソレ、ちょっと多くないか?」
一体どこに隠し持っていたんだろう。
さっきから彼女が、嬉しそうにテーブルに並べている栄養ドリンクと薬の量に、顔がひきつった。
「これで最後です。
ところで課長…」
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