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オオカミ課長の憂い
「………エッチ」
野太い声にパッと目を覚ますと、ここは俺ん家のコタツの中。
恐ろしいことに、ごく近距離にポッと頬を赤らめたむさい男の顔がある。
怖々手元に視線を落とすと……
何と俺は、隣で寝ていた熊野の股関をまさぐっていた。
ギィヤアアアアアアア……
「熊野っ、何故貴様がここにいる!
オ、オゥエエエ~~~」
ヤツはウーーンと伸びをして、なに食わぬ顔で答えた。
「ああ?
何言ってんだ、昨晩一緒に飲んだろう」
そうだった。
『うぉい、大神~~、開けろや~』
昨夜、マンションの前で酒瓶を片手に喚き立てていたこいつを、つい根負けした俺は、招き入れてしまったんだった。
俺は急いでコタツを出ると、洗面台へとダッシュした。
_くっそ~、何だってんだよ_
鏡面に映る己の姿を睨み付けながら、俺は入念に手を洗っていた。
全くもってらしくない。
俺は苦々しい気分で、先ほど見たばかりの夢の内容を思い出していた。
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