深夜のオフィス

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深夜のオフィス

 ガタァンッッ!!    静まり返った真夜中のオフィスに、大きな音が響きわたった。 「きゃああっっ!  大神課長。一体何を…」 「あ、赤野。俺はもう我慢できないッ」  デスクの上に強い力で押しつけられた彼女の悲鳴。  散らばった書類、パソコンのキーボード。オフィスの執務環境に、艶めかしい彼女の姿はいかにも不似合いだ。  いつもコッソリ盗み見ている年齢不相応な童顔。  いつも笑顔が絶えないその表情が、今は恐怖に青ざめて、大きな瞳には涙すら浮かべている。  すまない、恐がらせてしまったな。  だが俺は見逃さない。  その怯えた表情(かお)の中に孕んだ期待。  そう、君はさっきから俺の腕を振りほどこうとも、伸し掛かる身体から逃れようともしていない。  ああ、彼女は一体どこまで俺の恋(サド)心を擽るんだ!  堪らず彼女の頬へ唇を寄せた時だった。 「待って、待って課長!」 「ど、どうした?」  強い口調に怯んだ俺が顔を上げると、彼女は決意したように、小さく薄桃色の薔薇のような愛らしい唇を開いた。
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