第7章 ブラザーフット(つづき)

7/39
前へ
/39ページ
次へ
「まだ、蒸し羊羹は作ってないよ」 明日のお茶菓子用に、二人で考えて作る事にしていた栗蒸し羊羹。 それを一緒に作るのを、彼も楽しみにしていた。 だから、無理がなければ、それだけは一緒にと手を付けずにおいた。 だが彼が、切なげな顔でこうして私を抱きしめたがるもう一つの理由は 分かっている。 しかし、まずは明日の準備をしてしまってから。 そう思って、敢えてそれには触れずに羊羹づくりを促してみる。 そして、 「じゃあ作り始める前に、ご飯にしよう?」 私の肩の上で頷いた彼の背を、ゆっくりと摩りながら誘った。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加