20人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだ、蒸し羊羹は作ってないよ」
明日のお茶菓子用に、二人で考えて作る事にしていた栗蒸し羊羹。
それを一緒に作るのを、彼も楽しみにしていた。
だから、無理がなければ、それだけは一緒にと手を付けずにおいた。
だが彼が、切なげな顔でこうして私を抱きしめたがるもう一つの理由は
分かっている。
しかし、まずは明日の準備をしてしまってから。
そう思って、敢えてそれには触れずに羊羹づくりを促してみる。
そして、
「じゃあ作り始める前に、ご飯にしよう?」
私の肩の上で頷いた彼の背を、ゆっくりと摩りながら誘った。
最初のコメントを投稿しよう!