第1章

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「だからいいんじゃない。これは私じゃない、着ぐるみ着てるのと同じ。 だから七海、千晶達にも言うけど私がレイってことは秘密にして… お願い。」 「顔形は夕貴だよ。分かる人にはきっとわかるよ。」 「そうかな?私は別人になった気持ちでやってるの。これで終わりかもしれないしね。」 「続けないと勿体ないよ。 スッゴい綺麗だし… たぶんオファーもくるだろうし…。」 「来たときに考える。」 「せっかくのチャンスだよ。もっと貪欲に掴みなさいよ。私だったら自分から売り込みにいくよ。」 キレイになるのは嬉しい。華やいだ気持ちになるし、回りから注目されるのも嫌じゃない。 けれどそれはメイクをした私に向けられたもので、素の私が求められているわけじゃない。 そう思うと喜びも半減する。他人事みたいに思える。 進んでモデルをやろうと言う気持ちになれない。
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