始まりの音

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「南城」 次の日の朝礼前。 もう関わるまいと思っていた佐原貴臣くんが私の目の前に仁王立ちしていた。 外見も外見なので上から見おろされるとすごい迫力だ。 「な…何でしょう?」 昨日の今日で、少し気まずい。 「お前は俺の事嫌いなの?」 私の机がバンッと叩かれ、乗せていたカバンが振動で飛び跳ねる。 「えーっと、嫌いではないよ、苦手なだけで…」 なるべく彼を刺激しないように、慎重に言葉を選ぶ。 「ふーん?」 選ぶ言葉間違えたかな…? 「一鷹とは仲良いの?」 「えーっと、同じ部活だから話したりはするかな」 「ふーん」 怖くて顔は見れていない。 「俺、昨日初対面で拒否られてすげー傷付いた」 「えーっと…?」 私は何を求められているの? 思わず顔を上げると、ニヤリと笑う佐原くんと目が合った。 「慰謝料として、俺の願い事を1つ必ず聞け」 “平和な高校生活”が、ガラガラと音を立てて崩れる音が聞こえた。
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