始まりの音

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「佐原くんに絡まれてたね」 「優里…笑い事じゃ無いよ」 放課後のベルが鳴った瞬間、佐原くんを視界に入れないようにして急いで優里の席に向かうと、優里と一緒に早足で部室棟へ移動した。 優里は笑っているけど、今日1日佐原くんを避けるのがどれほど大変だったか。 「ほんとに最悪。  佐原くんファン多いんだから、私みたいな凡人放っといたらいいのに」 「なになに?  何か言われたの?」 朝教室で言われた事をそのまま話すと、目をまん丸くして驚く優里。 「えー!!  …でもそれってちょっとドキドキするね!?」 「全然しないよ!」 人事だと思って…。 あの顔は絶対何か企んでるに決まっている。 これから1年同じクラスだなんて、気が遠くなりそうだ。
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