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「あきらちゃん、さっきの子達何の話だったの?」
私が教室に戻ると、優里が不思議そうに声を掛けてきた。
「学級委員かわってって頼まれたの。
OKしちゃった」
右手で丸を作る私に
「えーつまんなーい」
と優里。
「あきらと佐原くんが仲良くなったらおもしろいと思ったのになー。
あきらと恋話するのがあたしの高校生活の夢なのに」
「優里、佐原くんが私にとってそういう対象じゃないのは優里も分かるでしょ。
それより優里も未だに好きな人いないじゃん」
高校の入学式で、好きな人が出来たら1番に教えてねなんて言い合ってたんだけど。
「えへへ実はー、最近いっちーの事気になり始めたんだぁ」
突然の優里の告白に、私は驚いた。
「この前佐原兄弟の派閥の話してたじゃん?
いっちーの方がいいなーって思ったら、いつの間にか好きかもー?って」
えへへと照れ笑いをする優里は完全に恋する乙女の顔だ。
優里は可愛いからそれなりにモテて、たまに告白なんかもされているんだけど、ひたすら断り続けていた。
だから優里の好きになるのはどんな人なのかな?って考えたりしてたんだけど。
恋に落ちるきっかけって意外と単純なんだな。
「それなら全力で応援するけど…」
私もいつか恋をしたら、こんな顔が出来るようになるのかな?
「あのね、早速協力して欲しいんだけどね。
あきらが湊くんに用事があるって事にして男テニのコートに行きたいの!」
親友の優里の頼みだし、湊くんの様子も気になる。
「じゃあ今日の練習終わったら行ってみよっか」
私は二つ返事でOKした。
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