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「あ、佐原くんが同じクラスなんだね」
教室に足を踏み入れて納得、我が校きっての有名人、佐原貴臣(さはら-たかおみ)くんがいた。
佐原くんは去年の学園祭のミスターコンテスト(いわゆる校内一のイケメンを決めるコンテストだ)で、先輩達を圧倒して1位を獲っていた。
右に流した少し長めの前髪から見える切れ長の目元が涼しげで、左耳にはいくつかのピアス。
髪の毛のベースは黒だけど少し明るいメッシュが入っていて。
制服はイマドキな感じに着崩している。
一応進学校のうちの高校ではわりと目を引く風貌だ。
先ほどの黄色い歓声は彼を囲っている女の子達が発していたものらしい。
そういえば、と優里が話題を変えた。
「結人(ゆいと)くんも今年からうちの学校だったよね?」
結人は私の弟で、うちによく遊びに来る優里ともそれなりに親しい。
優里は1人っ子だからうちに来る度に羨ましがっている。
「うん。高校では彼女作るって張り切ってたよ」
朝から何度も鏡を見て身だしなみチェックをしていた結人を思い出してクスっと笑った。
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