隣の席の有名人

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予鈴がなって、遂に佐原貴臣くんが友達と一緒にこちらにやってきた。 「相変わらず貴臣モテるよなー!  俺にも女の子紹介しろよ」 「ヤダよめんどくせーし」 チラっと横目でその姿を確認する。 佐原くんは双子で。 実は兄とは同じ部活なのだ。 でも二卵性の双子らしいし、あんまり似てない、かな? 考えながらぼんやり見ていると、当人と目が合ってしまった。 「えーっと、南城さん?  これからよろしく」 私の机の名前を確認すると、にっこりとわざとらしい笑顔を向ける佐原くん。 右手は握手を求めている。 「えっと、ごめんなさい」 咄嗟に出た言葉がそれだった。 たちまち佐原くんの顔が曇る。 前の席では彼の友人がおもしろそうに笑っている。 「一鷹(いちたか)くんの弟って聞いたから、似てないなって思って見てただけで…ごめんなさい」 私は極力彼と目を合わせないようにして、再度謝った。 「ふーん。  あいつの知り合いなんだ」 そう言って佐原くんは黒板の方に向き直った。
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