決意

4/5
前へ
/12ページ
次へ
自転車に跨がると後ろに咲希を乗せ 僕らは走り出した。 「風が気持ち良いねぇー」 「そうだな」 川の土手を自転車で走り抜ける。 この時間が俺の一番幸せな時間だ。 「あ!見て桜咲いてるよ」 咲希に言われチラッと目線を動かす。 土手の下の川辺に一本の桜の木 満開とは行かないまでも花を付けている。 これはこれで綺麗だ。 「花見してこうぜ」 ブレーキをかけ自転車から下ると有無を言わさず咲希の手を引いた。 そのまま土手を下る。 「綺麗だねぇ」 「あぁそうだな」 なんて言いつつ実は咲希に見とれてた俺。 桜に見とれる横顔があまりに綺麗だったから。 幼い頃からいつも咲希と一緒だったからハッキリとは解らないが。 きっと 俺は咲希の事が好きなのだろうと思う。 そして きっと、この気持ちが恋と言う奴なのだろう。 いつの間にか 一緒に登校して 一緒に勉強して 一緒に下校する。 そして自転車の後ろに乗せる事が当たり前になっていた。 だからいつも言いそびれてしまうんだ。 不意に横を見るといつの間にか咲希は寝てしまっている。 玄関で一時間も待っていたんだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加