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夏奈は女にビンタを食らわせていた。かなりの衝撃だったのか、夏奈からビンタを食らわされた女はそのまま床に倒れ込んだ。
「最低……」
そう言うと夏奈は走って出て行ってしまった。
「ちょっと、夏奈!」
夏奈を追いかけようとしたが、ふと女に視線を戻すと俯きながら肩を震わせていた。
確かにあんな強烈なビンタをされたら、泣きもするだろう。
こんなことになったのは少しは俺にも責任がある。大丈夫かと声をかけようとした。しかし、その必要はなかった。
謎の女は肩を震わせながら、狂ったように笑い始めたのだ
「ふふふふふははははっ」
何故笑っているか分からないが、とても不気味だった。呆然とその姿を見ていたらさっきまで笑っていたはずなのに急に真顔に変わる。
「ごめんね、彼女……」
そう言って少し上目遣いで俺を見る。ごめんねで済むと思ってんのかよと言おうとしたらそのまま女は続けた。
「まぁ、そのうち分かるからさ」
「……そのうち、分かる?」
そう言うとフフッと薄っぺらな笑顔を浮かべて笑う。
「そのうち嫌でも分かるわよ。私がここに来た意味が」
この女が俺の前に現れたことにより、俺の人生の歯車は狂い始めたのだった。
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