episode1 ー幸せの崩落

8/10
前へ
/83ページ
次へ
「それはいいけど服着てないの。とりあえずそこの服、取ってくれる?」  言われた通り俺は床に落ちているパーカーを手に取り、女に渡した。 「ありがとう。あっち、向いててよね」  そう言うので俺は素直にそっぽを向いた。 「ねぇ、どういうことなの? 誠!」  女が服を着ている間に俺は夏奈の尋問に合った。 「いや……それが……覚えてないんだよ……ね?」  気がついたら俺もこういう状況だったんだと素直に言った。覚えてないなんてありえないと夏奈は怒りに震え上がっている。  そりゃそうだろう。夏奈が怒るのも無理はない。  俺がもしも夏奈と同じ状況だったとしたら、絶対許せない。許せるわけがない。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加