第3話 初対決

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Aコートに到着すると、相手コートには既に大人が何人かいるみたい。 “ユウちゃんって子はどこかしら?” チラチラ見ながらそれとなく探していると、主審から選手集合の号令がかかる。 慌ててラケットを持ってコートサイド中央に向かうと、相手コートからも誰かがずんずん近づいてくる。 “あれっ? 大人?” “ん? ゼッケン付けてる” “…ってことは…この子がユウちゃん?!” 『………、デカッ。』 思わず声に出てしまった。これが彼女の第一印象である。 身長はママぐらいありそうだから、既に160cm以上あるかもしれない。 髪は短めで、男の子っぽい。本当に5年生? “真稀ったら、偵察するなら、ちゃんと身長が高いとかも教えなさいよね” なんて、勝手な事を考えながら相手を観察していたら、バッチリ目が合っちゃって、思わず目を逸らしてしまった。 むーっ、なんかまだ見られている気がする…。 心理作戦ってヤツかな。 選手同士で握手した後、じゃんけんで勝った私は、迷いなくサービスを選択。 主審からシャトルを受け取り、対戦相手同士で練習を始める。 いつものことだけど、練習中ただ打つだけだとつまんないので、ちょっと体制を崩したふりをして、3打目に相手の左後ろめがけて強めのショットを入れてみる。 すると、相手はスッと軽やかなステップで左足を引いて半身になり、難なくバックハンドで返球されてきた。 “ふーん、ユウちゃん、やるじゃん” 練習が終わり、試合開始の主審のコールが始まる。 「オンマイライト 日野美稀選手 小学 6年生 日野バドミントンクラブ、オンマイレフト…」 隣のコートでは男子の決勝戦が先に始まったらしく、主審の声が一瞬聞き取りにくくなるほどの歓声が上がる。 “ダメダメ、集中しなくちゃ” 私は目を瞑り、一息深呼吸する。ママに教えてもらったおまじない。 「プレイ」 主審のコールとともに、私達の物語が始まった。
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