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side大江
ゆっくりとした、それでいてしっかりとした口調から、真摯な気持ちが伝わってきた。今まで自分も彼女のことを誤解していたのだ。彼女は俺が嫌いだからわざとあんな態度をとっていたわけじゃなかった。至極安心した。
──ん?それって
自分の心に満ちる安心感と期待感。それは鼓動となって体中にじわんじわんと広がっていく。まさかとは思った。自分でも信じられない。彼女の言葉を思い出して、彼女にもう一度確かめたい。この新しい熱が何なのかを明らかにするためにも。
「藤本さんは────俺が、すき?」
「えっ!?」
さっきの彼女の言葉を整理すると、そんな答えに行き着いた。これが自惚れなのか知りたい。
彼女の大きな瞳がさらに開かれた。口元に手をやって、目を逸らしてしまう。その視線も逃したくなくて、思わず彼女の顔を両手で包んで上げさせた。
「どうなの?」
この鼓動も熱も前よりずっと重症だ。
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