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side藤本
頬を彼の熱い手が包む。その熱がこちらにも流れ込んできて、さらに顔を熱くする。少し寄せられた彼の眉間が、焦りと緊張を伝えてくる。私だけじゃなくて、彼ももしかしたら──そう期待してしまってもいいのだろうか。
頬を包む大きな手に、ゆっくりと自分のを重ねた。
「…………すき、です」
びくっと彼の指が震えた。彼の紅潮した頬がゆっくりと緩み、ふっと肩が下がったように見えた。
「おれも、です」
いつの間にか至近距離で私達は微笑みあっていた。お互いが遠慮しあって、なかなか伝えきれなかった思いを吐き出して、やっと緊張の糸が切れた瞬間だった。
そこでやっと、朝から気になっていたことを思い出した。
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