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───恋なんて、もうしない。
そう嘆きながら、一人、やけ酒をしていたのはもう二年も前。私が、まだギリギリ20代だった時の話だ。
その時の私は、合コンで知り合い、付き合ってから4年が経とうとしていた彼氏に振られたことで酷く病んだ。
私は、勝手に彼と結婚するんだと決めていた。私には、彼しかいなかった。
二十代最後の一年。周りの友人はゴールインして子供もいるというのが殆ど。そんな中で、4年付き合っている彼氏がいたなら、そりゃあ、その人と結婚するんだと誰もが思うはずだ。
29歳になって、4年も付き合っていた彼氏に振られる時の絶望感といえば、それはもう、ゲームのステージをクリアする寸前で母に電源を切られる、みたいな。そんな絶望感がある。
私は、もうこの歳になって恋愛感情に気持ちを左右させられるのが嫌だった。小さなことで一喜一憂する単純すぎる自分が大嫌いだった。
だから、もう、恋なんてしない。そう固く誓った。
────はず、だったのに。
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