今宵、一番に瞬いて消える星屑。

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「広田、おいで」  二人並べる大きなベッドの上で、仕事終わりのスーツ姿で腕を広げる彼。私は、彼の浮かべる優しい表情に胸をときめかせていた。  ───そう。私は、懲りずにまた恋を始めてしまったのだ。 「白井さん」 名前を呼んで、彼の腕の中にすっぽりと収まる。彼は、私の目を真っ直ぐ見つめると目を細めて優しく笑った。 「目、閉じて」 彼の言った通り、瞼を下ろす。すると、次の瞬間にゆっくり唇に触れた白井さんの唇。 優しく触れて、かと思えば、私を強く求めるように噛み締める唇に、私は、また深く彼に溺れてしまう。 はあ、と、必死に呼吸を整えようとして離す唇も、またすぐ彼の唇によって塞がれてしまう。 私の後頭部に触れる左手も、シャツの下から腹部に触れ、背中まで移動する右手も、彼の全てが私を求めているという事実。それに、私の胸は確かに満たされる。 好き。好き。大好き。愛してる。 つい、抑えきれなくなる気持ちが溢れそうになる。もっと、もっと、彼をカラダだけじゃなく、言葉で求めたい。 だけど、彼は愛してはいけない人。 もう、いっそ、言葉なんて発する隙もないくらいに唇を奪って離さないで。そんな事を考えてしまう程、私は彼を愛していた。 「ん、」 突然、彼が必死で噛み付いていた唇を離した。私の唇を指で優しくなぞると、また目を細め、愛おしそうに私を見た。
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