プロローグ

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プロローグ

昔読んだ本に『恋は人を壊す』というフレーズがあった。それは本の一番最初のページで一番初めのフレーズで、オレにとって衝撃のフレーズでしかなかった。いや、今思えば衝撃でしかない言葉だったの方が正しい。 その時は特に気にもしてなかった言葉。だが今はどうだ? 本当に気にもしないだろうか。 その答えはいいえだ。 今ならそうだと思う。『恋は人を壊す』本当にそのとおりだと心の底から思える。少なからず、あのときのオレもそうだった。 音をたてて心が壊れていくみたいにボロボロボロボロと崩れて、なにもかもがめちゃくちゃになっていく。 そして後悔するんだ。あのとき、好きにならなきゃよかったって。そうすれば苦しいことも辛いこともなにもなくて、楽しい毎日だけが送れたのにって。そう何度も考える。 恋というのがこんなに苦しいなんて知らなかったんだ。溺れているみたいに苦しくて、胸はズキズキと痛くて。自分ひとりじゃ底なし沼のような場所から出ることも出来なくて、ただただ苦しかった。 もう、恋はしたくない。若いながらにそう感じて、苦しいだけの恋だと気づけたなら。その恋は諦めよう。そう心に誓った。
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