割り箸ノクターン

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家を空けることが多くなり 五感のすべてが干からびた クタっとした状態で 暗闇の家に帰ってくる よく今まで 運転してたなって いびつに割りちぎった 割り箸くわえて お湯を注ぐだけの オツカレゴハン なんでだろ 割り箸 いつだって 左右 いびつに割れる 同じ想い込めて 割るのにな 決まって 2つ 同じような姿に ならない いつだって ひどくアンバランス 不器用なんだな …… いろんな虚しさが 湯気とともに立ち上る こういう夜は もてなし好きの 幼稚な もう一人の自分と 遊んでやるか 料理下手の手に馴染んだ わずかな調理道具の並ぶ 狭いキッチンを灯す インドネシアの手製ランプ その ほの暗い灯りを手に 窓を全開する 頬に当たる風が冷たい 真っ黒に寝静まった森から 星空を眺める 虫たちだけが オールナイトセッションしている 深夜のミニテラス 忘れかけてた缶詰も 仲間に加われば 季節外れの一人キャンプ 少しトゲある 小枝と化した 割り箸で いい音しそうな コップを叩… やめとけ 深夜だ ノンアルで 酔ってんのかよ 数時間後に出発だ 野鳥につつかれ…いや アラームに怒鳴られ 起きなきゃ… 起きられんのか? 起きな…きゃな…
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