皆川編 迷子襲来ー1

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するとそこに新米バーテンダーが騒ぎに気づいてやってきた。 その時、僕は咄嗟に手にしていた自分の上着を彼女に被せてしまった。 僕は自他共に認める冷血人間だ。 人助けに興味はないし、愚か者は勝手に絶滅すればいいと思っている。 だから今の自身の行動が我ながら収まりが悪かった。 でも、基本的に僕は誰も信用しない。 当然この新米バーテンダーも信用していないし、彼女と天秤にかければ彼女を選ばざるを得ない。 「お連れ様にタクシーを呼びましょうか?」 気を利かせたつもりか、バーテンダーが声をかけてきた。 “お連れ様”ではないと言いかけたが、先ほどと同じ理由で飲み込んだ。 「お願いします」
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