皆川編 迷子襲来ー1

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バーテンダーが電話をかけるために奥に引っ込むと、僕は再び彼女を起こしにかかった。 「起きてください。自宅はどこですか?」 人事調書を見ていたとはいえ、さすがに住所までは覚えていない。 何度も揺すると彼女は薄目を開けた。 「自宅はどこですか?タクシーで送りますから」 彼女はしばらくぼんやりと僕の顔を眺めたあと、とろとろと目を閉じながら寝ぼけた口調で駅名を答えた。 安堵したのは一瞬だ。 それは会社の所在地だろうが! 怒鳴りたくなるのを我慢する。 酔っ払いとはこんなものだ。
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