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八年ぶりの彼女はすっかりキャリアウーマンとなり、仕事は順調に見えたが、私生活では離婚問題を抱えていた。
離婚の決め手は相手の不義によるものらしいが、共有名義のマンションの権利を巡り、もめているらしい。
彼女からプライベートの相談をもちかけられた僕は、正直あまり関わりたくはたかったが、一人で相手カップルと戦わねばならない彼女を見捨てることもできず、昔のよしみで承諾した。
以来、香子は時折こうして電話をかけてくる。
先日かかってきた時は、相手が酒に酔い、別居中にもかかわらずマンションまで押し掛けてきたらしい。
この時間の電話ということは、今日もそれだろうか。
でも暴力癖はない男のようで、僕はさほど心配していなかった。
僕は警察ではない。
就寝中だったということで無視しよう。
ところが、こんなことを考えているうちに迷子がジタバタ動き始めた。
思ったほど爆睡していなかったらしい。
まずいと思った次の瞬間、僕は硬直した。
いきなり髪をむんずと掴まれたのだ。
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