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すると携帯の音は布団の中に移動した。
彼女が携帯を布団に突っ込んだらしい。
いやいや、それでは音は消えないだろう。
モシャモシャと布団を揺らしながら彼女は格闘を続けていたが、ついに音が止んだ。
香子が切ったのか迷子が切ったのかはわからないが、とにかくベッドルームに「しーん」と音がするほどの静寂が訪れた。
隣ではまた息を殺して僕を窺っている気配がする。
ひしひしと伝わってくる必死さに吹き出しそうになり、寝返りをうつふりで背中を向けた。
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