皆川編 迷子襲来-2

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裏路地に入れば“休憩”の文字のついた手軽なホテルがたくさんある。 そのようなホテルはプライバシーが守られ、酔い潰れた女をホテルに連れ込む場面をフロントの人間にじろじろ見られることもない。 だがしかし。 どう運転手に告げるんだ? “最寄のラブホテルに” 口が裂けても言いたくない。 何より、どうやらウブらしいこの迷子がどう反応するだろう? “それ”しか目的のないホテルにありがちな怪しげなネオンや装備を思い浮かべ、目覚めた時の迷子の錯乱ぶりを想像した僕は頭の中で唸った。 クライアント先の社員でもあるし、あらぬ誤解は受けたくない。 僕は一切、手出しする気はないのだから。 フロントで恥を晒さずに済む利点より、僕にはそれが重要だった。 僕は大きなため息をつき、格式あるホテルの名前を運転手に告げた。
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