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三十分後、僕は“ただの物体”をようやく部屋に運び終えてやれやれと一息ついていた。
ここは海外顧客のアテンドに利用しているホテルで、勝手をよく知っていた。
物体は僕がベッドに転がした格好のまま、ピクリとも動かない。
この時の僕は、物体がこのまま朝まで爆睡するのだろうとたかをくくっていた。
「疲れたな……」
明日の朝、酒が抜けた迷子にどう対応してやるかについては後で考えよう。
とりあえずシャワーを浴びるかとバスルームに向かいかけて、僕はふと迷子を振り返った。
寝かせ方が雑だったか、薄手のワンピースがめくれて脚が露出し、少し寒そうに見える。
布団ぐらいかけてやるべきだったかと思い直して、僕はベッドに歩みよった。
しかし、衝撃の事態はここからだったのだ。
バーでの出来事はほんの前振りだったらしい。
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