皆川編 迷子襲来-2

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三十分後、僕は“ただの物体”をようやく部屋に運び終えてやれやれと一息ついていた。 ここは海外顧客のアテンドに利用しているホテルで、勝手をよく知っていた。 物体は僕がベッドに転がした格好のまま、ピクリとも動かない。 この時の僕は、物体がこのまま朝まで爆睡するのだろうとたかをくくっていた。 「疲れたな……」 明日の朝、酒が抜けた迷子にどう対応してやるかについては後で考えよう。 とりあえずシャワーを浴びるかとバスルームに向かいかけて、僕はふと迷子を振り返った。 寝かせ方が雑だったか、薄手のワンピースがめくれて脚が露出し、少し寒そうに見える。 布団ぐらいかけてやるべきだったかと思い直して、僕はベッドに歩みよった。 しかし、衝撃の事態はここからだったのだ。 バーでの出来事はほんの前振りだったらしい。
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