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俺は、部活へいち早くきていた。
昨日の高揚感はおさまっていなかった。早く台本や演出の計画を立てたくて、ワクワクしていた。
彼女は、今日も俺より遅い。
昨日二人で書いた台本を読み返す。
まだ途中までだが、いい台本になりそうだ。
最初は、主人公が殴られるシーン。
始めから痛々しい。
殴られるフリ…か。難しいな。出来るかな…。
…あれ、まただ。
昨日は無かったのに、今日は来てしまった。
強制的な、謎の眠気。
「…記憶チップ、コピーしました。次は、動作の確認です。関節の動きに異常はありません。」
変なセリフを聞いて、おれは薄く目を開けた。
なんだ…白い天井?
おれは寝かされている。周りを数人の大人に取り囲まれていた。
「…感情チップの記録はどうします?」
メガネをかけて真面目そうな女の人が、白髪混じりの頭のおじさんに話しかける。
「いらない。所詮、金属の塊だ。調べるだけ無駄だ。」
おじさんは、何故か俺のお腹をゆっくり触った。
うわ!まって、気持ち悪っ!!
俺は、その瞬間飛び起きた。
俺が起きると、周りを取り囲んでいた大人達が目を見開いてこっちをみていた。
なんだ…この状況…。
俺は不意に下を見た。
「なんだ…これ!!!!!」
叫んだ。なんだよ、気持ち悪い!!俺は理解できなかった。
俺の腹の皮膚は剥がされていた。
しかし大量に血が流れることは無く、代わりに金属のようなものが見えていた。
俺、何か手術したのか…?
俺は何故か涙がこぼれた。頬を涙がつたう。冷たい。怖い。
俺はその瞬間、周りの人間に取り押さえられた。ベッドに押さえつけられる。
俺は暴れた。
またどこか体をいじられてしまう。
そんな気がして四肢を動かそうとするけど、なかなか思い通りにいかない。
暴れる中、チラつく視界で俺はずっと誰かと目があっていた。
黒髪ロングの女の人、艶やかな髪を一つに束ねている。
あれは……。
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