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「…ヒイラギくん、…起きて。」
俺は、肩を叩かれて目を覚ました。
冷たい空気が頬を撫でる。
俺…、また寝てしまったのか。
「うう…ん。ごめんカエデ…夜になってしまった、送ってくよ…。」
俺は、寝ぼけながらそう彼女に言ったのを覚えている。
最近、部室が心地よい。
読書で寝る体質では無いのだが、最近寝てしまう。
何故だろう。
そう考えながら学校を出て、空を見上げると、顔に何か落ちてきた。
「雪…!」
俺の目の前を歩いていたカエデがそう叫んで後ろを振り返る。
カエデの長い髪がふわふわと揺れる。
月明かりの当たる所だけ、彼女の黒髪は白く反射していた。
俺は、寒くてピンクに染まった彼女の頬を少しつねってみたい、そんな変な衝動を押さえ込んだ。
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