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「この小説の演劇、今度文化祭でやろうよ!!」
カエデは楽しそうに提案すると、その場でくるくる回ると窓のカーテンを開けた。
「は?!本当に?!」
夕方の空が部室を赤くした。
「俺はやりたくな…。」
「お願いだよ!一生のお願い!!演ってくれたら何でも一つ願いを聞いてあげるよ!」
彼女は食い気味に俺に言う。何でも…いやいや、そんなこと言われたら変な妄想してしまう…。
デートかな!デートしたい。いや…デートしたいって、もしかして変態行為に入るのか…?
いや、でも…。でも、キスとかその先とかそういうことを言ったら変態になるよな。デートはギリギリラインか?ギリギリセーフ、そうだきっとそうだよ。ギリギリセーフ!!!
「ヒイラギくん聞いてるの?」
彼女が、俺の顔を覗き込んできた。
俺の顔に火がつく。
熱い。恥ずかしい。変なこと考えてて…しかも覗き込むとか反則…。
「いや…あ、えっと。や…演るか。」
頭が回らなくて、口が先に出る。
デート、できるなら…!
「え!いいのね?!やったあ!私、主人公を助ける神様の役するよ!」
赤い光は部室ごと包み込んで、俺の熱くなった頬を隠してくれていた。
俺は、太陽に感謝していた。
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