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「願わくば今日も曇であれ」と大隊長は言った
身を切るような寒さを運ぶシベリアからの風を受けながら、
日本国国防陸軍第122装甲歩兵大隊はかつて「平壌」と呼ばれていた廃墟を警備し続けている。
武者鎧と騎士鎧を足して割ったような格好の装甲歩兵たちが、
周囲の異常がないかを調べているのだ。
プロメテウス事件以来廃墟と化したこの地を、
彼らは『ガラスの街』と呼んだ。
なぜ『ガラスの街』なのか。
答えは、
いたって簡単。
何故なら本当に街のほとんどがガラス化しているからだ。
熱量を投入され融解した物質が急速に冷却されると物質は本来の結晶構造とは全く異なる無秩序な構造で固まる。
これがガラスである。
例えば、
原子爆弾を使用されたヒロシマとナガサキでは、
原爆の爆発で発生した熱線により屋根の瓦や土壁などが融解し急冷されたためガラス化している。
先の大戦終結からまもなくして、
目的不明のハッカー集団によりアメリカ軍の戦略レーザー衛星『プロメテウス』がアンコントロール状態に陥り照射された、
いわゆるプロメテウス事件。
プロメテウスは周回軌道上から地上に向けて使用し、
その出力も戦術運用型やBMD型などのレーザーをなん桁か上回るよう設計されている。
それはつまり、
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