「願わくば今日も曇であれ」と大隊長は言った

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ファットマンやリトルボーイはおろかそこいらの通常核弾頭なんて遥かに凌駕する熱量を叩き込む代物ということになる。 そんなものを照射された悲劇の都市がこの『ガラスの街』、 平壌なのである。 さて、 ではなぜ装甲歩兵大隊がここの駐留しているのかについて説明しよう。 先の大戦でそれまでなんとか活き続けてきた北朝鮮という国は滅びるに至った。 その経緯は戦史に明るい諸氏のため省くが、 当然の事だが人も建物も、 そして多くの核弾頭もそこに残された。 戦後、 最も汚染対処能力の高い日本軍を中心とする弾頭の保管場所の調査が行われ、 多くの濃縮放射性物質や核弾頭が回収された。 しかし、 記録上存在しない保管場所が1つ存在した。 そこは、 平壌。 それも平壌中央広場の地下であったのだ。 秘密の保管場所の存在とその位置が判明し、 日本軍が回収に乗り出そうとしたまさにその時、 プロメテウスの光が平壌を焼いた。 結果、 起こったのは放射性物質の周囲への拡散である。
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