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レノルフェの話に、わなわなと肩を震わせる。過度に反応すれば怪しまれると思い、押さえ込むのに必死だった。
「でもそれも昔の話だ。今は…ゲホ、こんな身体になっちまったしな」
さっきから気にはなっていたが、レノルフェはずっと乾いた咳をしていてパンも食べにくそうだった。こんな空気の悪い所で暮らしていれば無理もないが、気の毒になってしまう。
「だから、レノの代わりにオレが……」
「? 何か言ったか」
「えっ、いや…なんでもない」
「そうか」
アカネが何か呟いたようだが聴き取れなかった。本人もこう言っていることだし、大した話ではないのだろう。
残っていたパンの最後の一口を食べ終えた頃には、二人はもう寝る準備に入っていた。
レノルフェが再び寝台(ベット)に横になって壁側に身を寄せ、その隣にアカネが潜り込む。
「二人はいつもそうやって寝ているのか?」
「そうだよ。ただでさえ狭いのに、寝台(ベット)二つも置ける訳ねーだろ」
アカネは呆れたように言うと、フィオの足元をびしっと指す。
「あんたは床で寝てろ」
「ゆ、床!?」
床といっても、土がむき出しで地面とさほど変わらない。こんな固い所で身を休めろと言うことか? 冗談じゃない。
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