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「僕は先に席に戻ってるから、少し休憩しておいで」
……ほう。
休憩室は曲がり角のこちら側。
トボトボとした足音がこちらへと近づいてくるのを聞き、僕はほとんど見ていなかったスケジュール画面を閉じた。
角から現れた彼女は、漫画かと突っ込みたくなるぐらい、絵に描いたような項垂れぶりだ。
外出帰りなのか作業着姿ではなく、肩にバッグをかけている。
僕にはまだ気づいていないが、壁沿いに歩く彼女の進路上には僕がいる。
さあ迷子よ。
ハチミツの後はショック療法だ。
進路を塞ぐ僕の脚に気づき、彼女はぼんやりとした表情で顔を上げた。
次の瞬間、彼女の目が真ん丸になり、身体が数センチほど地面から浮いた。
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