弱国の皇子テスカ

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だがテスカは違和感を覚えた。 現在に続くまで、実に百年もの永きに渡り一触即発の関係であったシバルバーとアマル。 それが事ここに至って、唐突に同じ意見を掲げることへの違和感をである。   それに対するテスカの辿り着いた答えはこうだ。 つまり二国は、我がマヤウェルには秘密裏にして二国間だけの軍略会議を事前に執り行っている。 そこで密かに同盟を結んだ二国は、さも偶然を装って我が国に進言をしに参った。 この推理が正しいとすると、先に二国が動いたのは何ゆえか。 最終的な目的が三国同盟ならば、先に二国が同盟を締結した報告が我が国にもたらされても良いはずである。 しかしそれは無かった。 とすれば、そこから導き出される答えは多くない。
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