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「どうしますか?」
苦手な嫌味男に魂を売り東条を手に入れる賭けに出るか、泣き寝入りしてこのまま一人で朽ちていくか。
“きっと私、このまま一人で朽ち果てるんです”
迷子が自分の酔いどれ語録を覚えているかは定かでないが、ついに臆病な瞳が僕の催促につられるように頷いた。
「この後は?」
「な、何も」
「では帰る支度をして、ここで待っていて下さい」
食事に連れて行くつもりだった。
このまま一人で考える時間を与えると、迷子は恐らく逃げる。
だからその余裕を与える前に外堀を埋めるのと、万が一逃げられた場合のために手早く聞き取り調査をするのが目的だ。
「待って下さい!」
職場に荷物を取りに行こうと踵を返した僕を、彼女の声が止めた。
僕が怖いらしく、必死な表情を浮かべている。
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