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「皆川さんのメリットは?あの、ボ、ボランティアじゃないはずです」
「もちろんボランティアではありません」
目的を明かすと、彼女は東条を守るため彼に不利な情報は隠そうとするだろう。
「僕のメリットの一つは、ストリップの続きですね」
僕は嘘はつかないが、嘘と境目のない冗談は利用する。
この時は真っ赤になった彼女をからかう余裕があった。
「まあ、それはあなた次第ですが」
突如現れたこんなおかしな女にペースを乱されたあの夜は何かの間違いで、二度とあるはずがない。
「とにかく、あなたに損はないはずですからご心配なく」
情報を頂く代わり、東条を手に入れるお膳立てをしてやる。
東条が解雇となった場合は、そんな男と必要以上の縁がなくて良かったと思うべきだ。
ところがこの後、今まで計画を狂わせたことのない僕は、唯一の誤算に直面する。
それがこの僕自身だとは、この時は想像もしていなかった。
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