序章 「鋼鉄に宿る意思」

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序章 「鋼鉄に宿る意思」

 私が生きているこの時代はまさに戦乱の世だ。  魔力があるかないか、ただそれだけのことで差別し対立する「人間」と「魔人」。その二種族による戦争は約十年もの間続いていた。約十年に渡り繰り広げられているこの戦争は、その年月をかけて大陸中の豊かだった自然を破壊し、平和だった大陸の空気を汚していった。  だが、殺し合いを行なっている人間と魔人は、元々仲が悪かったわけではない。  そもそもこの二種族は、戦争が始まるまで争うことはおろか交わることすらなかったのだ。  それぞれが長い歴史の中で独自の文化を築きあげ、人間は過去の技術者によって提唱され長年研究されてきた《マナ蒸気機械技術》によって工業社会を、魔人は持ち前の魔力を社会の中心へと取り込み《マナ魔法》による魔法社会を発展させてきた。  そんな全く違う道を歩んできた二種族が交わることになった原因、それは大陸に突如発生した原因不明の死病だった。       
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