報われない恋

2/3
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「ねぇ、聞いてる?」 俺の顔を覗き込むように眉をひそめる彼女がいる。 「……聞いてない。なゆの話、なげーんだもん」 「もう!ちゃんと聞いてよー。こんな話、ひーくんにしか言えないんだから」 ………俺にしか言えない、か。 スマホゲームを中断して、ソファへ寝転んでいた身体を起こす。 「ただ兄貴とのノロケ話を聞かされてるとしか思えないけど」 「これのどこがノロケなの!」 「ちょっと式の打ち合わせに遅れてきただけで、『私のことなんかどうでもいい』って本気で言ってんの?兄貴がどれだけなゆのこと好きか、今更言わなくたってわかってんだろ」 そう、今更なんだよ。 なゆの気持ちも。 俺の気持ちも。 すると、玄関のドアが開き、バタバタと足音が近付いてくる。 ………ほらね。 最初からなんの心配もいらねーんだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!