ヤれない事情

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「とりあえず水分を。僕はこれから、ユートさんの意識が戻ったって、内藤さんに報告しときます。きっと心配してますから。説明はそれから」  優人ががうなずくと、誠一郎は携帯電話をもってキッチンのほうへいった。手の中の水を一口ふくみ、ゆっくり喉にとおした。胃酸で焼けた喉と食道を冷たい水は心地よくとおっていった。 「今日は休みでいいそうです。内藤さんが、もう代わりのドライバー手配したっていってました」  電話を終えて、帰ってきた誠一郎は笑顔でそういった。この状態では今日は運転できないだろう、と優人も思っていた。 「ユートさんに偶然会ったとき、『こどもたくしー』って会社名の入ったTシャツ着てたの覚えてますか?」  誠一郎はベッドに浅く腰かけた。優人は上半身をおこして子どものように膝をたてて話をきいている。  記憶をたぐった。オフィスビルのレストランで誠一郎と再会したときは、仕事の途中の昼休みだった。たしかにユニフォーム代わりのTシャツを着ていた。
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