ヤれない事情2

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ヤれない事情2

 優人はまた少し眠り、やがてベッドからおきだしてローテーブルの前で食事をした。誠一郎が土鍋で炊いた粥は、生姜の香りのする鳥だしの中華粥だった。白髪ネギとクコの実をのせて、目の前にさしだされた。  テーブルの真ん中に、灰色の土鍋が鍋敷きとともにどかんと置かれて、蓋の穴から細く湯気がたっていた。優人は、れんげでつやのある白い表面をすくって、口へはこぶ。からっぽの胃にじんわりしみとおっていくうまみと、玄米のぷちぷちした食感が心地よかった。誠一郎もとなりで同じように粥をすすっている。  ふたりとも言葉は少なかったが、誠一郎のいたわりの気持ちは、部屋の中に日だまりのようにやわらかく満ちていた。  ベランダにつながる大きな窓から、昼の陽が明るくさしていた。優人が眠っているうちに誠一郎が干したのか、ベランダには洗濯物が揺れている。かすかに石けんの匂いがする。  優人はゆっくり食事をおえて、ごちそうさま、と両手をあわせた。そしてまだ食べている誠一郎のほうに、正面からむきあった。 「竹林くん、あのね、俺考えたんだけど、今度休暇とって保健所行くわ」  誠一郎の手がとまった。まだ意味がわからずにとまどった顔をしている。
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