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後片付けのあとは、トイレと洗面所のついたユニットバスをかわりばんこに使って着替えた。優人は近くの量販店で買ったパジャマを誠一郎の部屋に置かせてもらっている。
湯上がりの濡れ髪のまま、ジンジャーエールのペットボトルを開けた。誠一郎は冷たい牛乳を飲んでいる。
「じつは、近いうちに引っ越そうかと思ってるんです。ここはふたりで過ごすにはやっぱり狭いですし。こうして泊まってもらうなら、優人さんのものももっと置きたいじゃないですか。あと、あの――」
誠一郎の視線の先には、シングルベッドがある。いかに上京したての学生が買いそうな質素なパイプベッドだ。
「んー。ベッドも、おっきいのがいいね」
優人が続きを代弁し、苦笑した。
「くっついて寝るのも嫌いじゃないけどね」
「このさい、一緒に部屋を探しませんか」
「それは……その」
「優人さんさえよかったら」
「ほんとに、本気でいってる?」
優人のほうが驚いた。
「俺はゲイだけど。竹林くんは今後女性と恋する可能性だってあるのに。俺と同棲までしてほんとにいいの?」
ためらいがちにいうと、 誠一郎が眉をつりあげた。
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