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「竹林くん……」
「もう、誠一郎って呼んでください」
「せい、いちろう」
ぐっと腕の中に抱かれて愛撫を続けられる。荒れた海の高波のように、逃れようのない快楽がおしよせて優人の理性を溺れさせていく。
「誠一郎、誠一郎、誠一郎、ああっ」
膝ががくがくと震えた。誠一郎の手の動きに合わせて、おもわず腰が動いてしまう。もう射精感がせまってきていた。
「ああ、もう……我慢できないっ……いっちゃ……いっちゃうっ」
足に力が入らなくなって、必死で誠一郎の首にすがった。
「イくところ、見せて、ください」
優人の耳元に荒い息がふきこまえれた。羞恥と悦楽で目の前がにじむ。
涙をうかべた視界には、やさしく微笑む誠一郎の顔が見えた。やさしいのに、寄せた眉は少し苦しげで、彼に似合わぬ淫猥な色気をまとっている。
好きだ、と思った。真面目で律儀な彼も。あわてている純情な彼も。容赦なく優人を攻めて喘がせる彼も。全てが愛おしいと思った。
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