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「うん。だって……幸せだもん」
「安心しました?」
「うん。ずっと、触りたかったんだもん」
細い声でそう答え、添い寝してくれる誠一郎の肩に顔をうめる。誠一郎はこまったように顔をしかめる。ああ、もう、といらだったようにひとりごちて、優人の手をとった。
「可愛いですっ」
まだローションの香りのする指先に、遠慮がちなキスをした。
ぼうっと幸福な倦怠感にひたっていた優人は、はっと思いだして、半身をおこそうとした。誠一郎はまだだったはずだ。ひとりだけ達してしまった。
「俺も、誠一郎のこする」
「もう充分です」
「誠一郎?」
「ゴムをしてても、破れるかもしれませんし、漏れるかもしれません。そういうことを心配しながら最後まですることはないです」
「……いいの?」
心配そうに問う優人。
「あと二ヶ月半ですよね。最後までユートさんを守らせてください」
誠一郎は、少しだけやせ我慢の見える顔で微笑んだ。
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