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小柄な青年だった。染めているのか髪の色は明るい茶色で、親しみやすく人好きのしそうな雰囲気だ。丸顔で目の大きな童顔だが、二十代後半にはなっているだろう、と誠一郎は思った。
彼はからっぽになった樹脂のおわんを自分のトレーに置いた。メインの皿の上には、大きな海老フライのしっぽと半壊した千切りキャベツの山がにある。
「ああ、そっか。俺吸うけど、おにーさんはダメな人?」
テーブルの上にある彼のトレイの脇には、メビウスメンソールの紙箱と安物のライターがあった。彼に上目づかいにたずねられ、誠一郎は一瞬、言葉を失った。
見覚えのある顔だった。でもまさか、彼にこんなところで再会できるとは。
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